この論文では、日本の公債の低金利を説明する財政危機のモデルを提示している。
モデルのカギとなる要素は、投資家にとって財政危機をヘッジするいかなる資産も存在しないという意味で、安全資産が存在しない、ということである。このような状態の場合、金利はデフォルトリスクを完全には反映しなくなる。これは、財政危機が発生した時に、国債の収益率は低下するが、同時に、国債を保有する機会費用も低下するからである。また、国債市場が十分に機能しないときには、低金利は、たとえ財政状態が深刻であったとしても、低いデフォルト確率をもたらし、政府が多くの債務を維持することを可能にする。