櫻川昌哉・櫻川幸恵
本稿では、日本の財政の維持可能性について検討を行っている。検討の際には、まず、政府による財政の反応関数をOECD23か国を対象に推計を行い、それが、政府が毎年基礎的財政収支をどの程度変化させることができるかという制約としてとらえる。その制約をもとに、内閣府が公表している「中長期の経済財政に関する試算」において示されている実質経済成長率、インフレ率、名目長期金利等の値を用いて、財政が持続可能であるかを検討した。その結果、成長実現ケース、ベースラインケースのいずれにおいても、財政は維持可能であることが示される。この結果は、成長率を調整した金利がマイナスであることが大きく貢献している。