本研究の目的は、企業にとって重要な自然資本や社会環境資本の管理のための持続可能なバリューチェーンマネジメント(SVCM)を構築することが、企業業績にどのような影響を与えるかを実証的に明かにすることである。このため、本研究では、小売企業を対象とし2008年~2013年のSVCMへの取り組みと売上高の時系列データに用いた回帰分析を行った。その結果、売上高の減少と同年のSVCMの取り組みが有意な正の相関関係にあることが明らかとなった。これは、売上高が減少した企業が、経営の危機に直面し、SVCMへの取り組みが企業業績に貢献すると考えて積極的に取組んだ結果と考えられ、「業績悪化→SVCM」という因果関係があったと結論付けた。