本研究は、日本企業を対象として女性取締役と財務業績との関係を実証的に明らかにすることを目的とする。そのため、東証1部上場企業から200社を無作為に選び、女性取締役数と財務業績の間での相関関係と因果関係の解明を試みた。本研究の結果、女性取締役の取締役会に占める割合(女性取締役比率)は、財務業績の指標であるROE、ROA及びトービンのQとは正の相関関係にあった。更に女性取締役と財務業績との因果関係を分析したところ、財務業績が高くなった企業が1年後に女性取締役の採用を進めたことが明らかとなり、財務業績が向上した企業が女性取締役を増やした可能性が高いと結論付けた。