消された身体―田山花袋『蒲団』の時代
國學院雑誌
P.117~P.128 『蒲団』は性欲をめぐる、むしろ自己抑制の物語として位置づけられている。情念の発露を求めることが、なぜ逆に性欲を疎外する結果をもたらすのか。そのメカニズムについては十分に明らかにされてはいない。本論考では主人公と対象との関係がメディアの中のふれあいに終始したことに原因があったと論じた。