学術論文

基本情報

氏名 禿 あや美
氏名(カナ) カムロ アヤミ
氏名(英語) kamuro ayami
所属 マネジメント学部マネジメント学科
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

名称

雇用制度に内在するジェンダー格差─職務を通して見えるもの

単著、共著の別

単著

年月日

2023/06

発行所等

労働政策研究・研修機構

出版社

巻・号

755号

開始ページ

44

終了ページ

57

査読の有無

概要

『日本労働研究雑誌』所収。近年,「メンバーシップ型」雇用から「ジョブ型」雇用への変革や,同一労働同一賃金政策による不合理な格差の解消など,職務に関する議論が増えている。本稿では,先行研究の検討を踏まえ,「ジョブ型」雇用を,職務等級制度による人事システムの構築と定義した。また,「ジョブ型」雇用と雇用管理区分の多元化を区別した。そして,既存の雇用管理区分の違いに捉われず,職務という統一的な基準で雇用システム全体のあり方を議論できる点に,「ジョブ型」雇用の特徴を捉えた。さらに,「ジョブ型」雇用の人事管理制度を構築するための手段として用いられる職務評価調査の結果を取り上げ,「メンバーシップ型」雇用制度に内在するジェンダー格差を明らかにした。職務評価を行うと,正社員は役職別に見ると,職務価値の高まりとともに賃金も上昇していることがわかる。しかし,パートタイム労働者には,職務価値の大きさとは釣り合わない低賃金が一律に支払われている。「メンバーシップ型」雇用において,職務と賃金の対応関係を明確にせずとも,企業への拘束度の違いに応じて,雇用管理区分を多元化させることが可能であったことが,そのような状況を引き起こしている。そしてそれがジェンダー不平等の解消を阻む要因の1つである。しかし,職務を軸に企業内の雇用制度を構築した場合には,責任概念の無限定な拡張と,長時間労働のまん延を抑制しなければ,企業内の職務と役職,賃金の序列を維持できなくなる。「メンバーシップ型」で標準とされる,無限定な働き方ではなく,家事や育児などの「ケア」と両立できる働き方が,ジェンダー不平等の解消には必要である。その基盤づくりの契機に「ジョブ型」雇用の議論がなりうると思われる。