本研究の目的は、現代の女子学生が結婚・育児を通して「働く」ということへのイメージとジェンダー・アイデンティティ、キャリア成熟度および結婚願望との関連を明らかにすることであった。関東圏内の女子学部生50名および大学院生(女子)13名を対象に調査を行った。2種類の刺激文を提示し、物語を作成してもらった。作成された物語を3群(仕事と家庭の両立群、仕事を辞めて家庭を選択した群、葛藤群)に分類した。将来家庭をもちたいと回答した人の方が1%水準で「展望的性同一性」の得点が高く、5%水準で「自己一貫性同一性」の得点が高いという結果になった。展望的性同一性と自己一致的性同一性、人生キャリア自律性の得点が高い傾向にある学生ほど家庭をもちたいと思っている傾向にあり、他者一致的性同一性と人生キャリア計画性の得点が高い傾向にある学生ほど家庭をもちたくないと思っている傾向が見られた。
●宮崎圭子・篠崎 恵