本研究の目的は,1.勤労健常者グループ(実験群1)を対象として「強みを探して活かす」心理教育を実施し,その効果を検討する,2.2018年に実施したアンガー・マネジメントのグループ(実験群2)の心理教育の効果と比較検討する,であった。2022年8月下旬,X 県内のある組織に従事している同一専門職群の,勤労健常者男性10人,勤労健常者女性11人の計21人が参加した(実験群1)。本プログラムは,Furr(2000)の6ステップモデルに基づいて作成された。参加者たちは,強みテスト(簡略版 VIA)(宇野,2014)を使って,自身の強みを評価する。得点が高い順に7つの強みをリストアップし,自身の成功体験にそれらがどのように活かされたか,失敗体験にはそれらがどのように機能すれば成功裡につながったかを検討する。実験群において、1%水準で有意に「快適さ」が,0.1%水準で有意に「健全な闘争」が,pre より post の方が高かった。勤労者にとって,「強みを探して活かす」心理教育プログラムは効果的であることが明らかとなった。