本研究は,更生保護活動の担い手としての保護司の資質に焦点をあてた上で,保護司育成の課題について検討した。1.支援ヘの原動力となる保護司の資質には何があるのか, 2.保護司の育成についての課題は何か,3.左記の課題についての方策については何が考えられるか,をリサーチクエスチョンとした。研究対象者は,保護司,保護観察官であり,インタビューによる半構造化面接を実施した。インタビュー内容はテキスト化後,計量テキストマイニングのソフトKH-Coder(樋口,2001)を使用した。,共起ネットワーク,KWIC(Key Words in Context)コンコーダンスによる分析を行った。結果から以下3点を掲げ考察した。1点目《ボランティア精神》では,崇高な精神性に基づくボランティアとしての矜持を持ち,活動を行う保護司の姿が示唆された。2点目《ふつうの人》では,過去に罪を犯した保護観察対象者にとって,ふつうの支援の意義の重要性を明らかにした。そして,保護司制度存続のために,ふつうの人が参加できる保護司制度の構築を示唆した。3点目《育成》では,保護司の横のつながりを育む場としての研修において,心理教育的アプローチの有用性を示唆した。(稲垣千寿恵・宮崎圭子)