解除を契約の拘束力から債権者を解放するための制度と捉える考え方において債権者を契約の拘束力から解放する正当化根拠となるのが重大な契約違反である。CISG25条は、「当事者の一方が行った契約違反は、相手方がその契約に基づいて期待することができたものを実質的に奪うような不利益を当該相手方に生じさせる場合には、重大なものとする。ただし契約違反を行った当事者がそのような結果を予見せず、かつ同様の状況の下において当該当事者と同種の合理的な者がそのような結果を予見しなかったであろう場合は、この限りでない」と規定する。しかし、重大な契約違反が具体的に何を意味するかについては明らかではない。そこで、本稿ではCISGにおける重大な契約違反の意義について検討した。