約款は多数の契約に用いるためにあらかじめ定式化された契約条項の総体とされる。2017年5月に成立した改正日本民法は、定型取引において契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体である定型約款について規律するが、約款の一般的定義や規律はしていない。国際ルールであるCISGも約款の概念を定義しておらず、また約款の組入を規制する特別な規定もない。しかし、約款の組入の問題は契約の成立の主要部分であることから、約款が有効に契約に組入れられるための形式や要件等についてはCISGの一般原則によるというのが一般的な見方であり、大部分の裁判所はCISG条8条とともに14条以下をベースに規律されるとする。そこで、本稿ではCISGにおける約款の組入の問題について検討した。