契約締結上の過失責任―ヨーロッパ契約法原則における規律を契機として―
秋田法学47・48号合併号139-161頁
ヨーロッパ契約法原則(PECL)は契約締結上の過失責任につき詳細な規定を置く。すなわち、PECLは契約締結の交渉段階において信義誠実および公正取引が当事者に課された義務であることを明確にするとともに、契約締結前の当事者の一方による陳述が一定の場合に契約上の義務を発生させるとする。PECLは法系間法理を総合し、ヨーロッパ契約法の統一化を模索するものであることから、わが国における当該契約責任を考えるにあたっても示唆に富む。