松嵜くみ子、小田島安平共著
p39-43
近年様々な分野において「根拠に基づいた」意思決定が推奨されている。心理療法の分野においても、少しずつ試みられている。本報告では、小児の喘息治療における心理的アプローチに関する最近の研究の中で、「良質の根拠が示されている研究」についての研究をレビューした。「根拠」は数値として測定しやすく、短期間で変化の生じやすい現象については検討しやすいが、数値として表現しにくく、変化が長期にわたるものに関しては検討が難しい。また、たとえ「根拠」が示されたとしても、そのまま用いることができるわけではない。現時点では「根拠」作りの努力と、「根拠」の不確かな選択肢のなかから、少しでも役に立つ対応選択するための患者中心の謙虚な工夫が必要である。