双極性障害患者の家族に対し、必要な情報や支援を提供することは、家族の負担を軽減し、患者の予後を改善するために重要である。そこで、①家族がどのような情報を必要としているのか、②家族は医療者からの情報提供を十分だと感じているのか、③家族は医療機関以外にどのような手段で情報を入手しているのか、④日常臨床における医療者からの情報提供は家族のエンパワメントやExpressed Emotionにどのような影響を与えるのかについて探索的に検討することを目的に、双極性障害患者と同居する家族208人を対象としたウェブ調査を実施した。家族が評価した医療機関からの情報の有無や程度、医療機関からの情報提供に対する満足度が高いほど、家族のエンパワメントは高く、家族のEEは低いことが示唆された。外来診療の中で行われる、主治医をはじめとする医療者との間で行われる説明や相談といった交流は、家族のエンパワメントを高め、EEを低下させるうえで有用な可能性がある。