日本の金融の今後を展望するにあたって、金融の背後にある経済事情、アメリカの経験等も参考にしながら、バブル期以降の出来事について、金融行政・金融政策に主に焦点を当てて議論を展開。一定の結論を得ることを目的とせず、多面的な見方を提示することを主眼としている。主な論点は、次のとおり。
バブル発生過程における財政政策および金融政策は適切であったか。
バブル退治に採られた金融機関の不動産向け貸出の総量規制、地価税の創設、金利の急速な引上げをどう評価するか。
金融ビッグバンを打ち出すタイミングは適切であったか。
住専に対する対応は、どのようにすべきであったか。
現在行われている金融機関に対する健全性の求め方は、ハードルが高すぎないか。
BIS規制は、銀行の行動にどのような影響を与えたか。
産業に対する資金の供給のあり方につい
て、いわゆる間接金融偏重から直接金融への移行をどう評価するか。
金融機関が十分その力を回復していない時点で、ペイオフをどう位置づけるか。
市場主義と行政介入の必要性について、どう考えるか。