四日市の工業化初期における都市形成の実態に関する考察 -工場操業に関わる問題を中心に
四日市市史研究
11号
四日市で工業化が本格化する1930年頃より戦争末期までの期間を、工場操業に関する問題に焦点を当てて分析したもの。工場立地の進行に伴い、工場排水をめぐり工場と地域コミュニティの間で紛争が起こるようになった。しかし県・市当局は、強い工業化指向を背景に、工場の操業を厳しく規制しなかった。また地域の農漁民も、補償交渉に埋没しがちであった。このため各工場は操業のあり方を改めず、戦争末期にはすでに、相当程度まで四日市沿岸域の水質汚染は進んでしまった。