オランダでは特に南部の州が2000年代半ばより、高速自動車道路の渋滞緩和をめざし、5kmを超える長距離での自転車利用を促す手段として高速自転車ルート(snelfietsroute)の整備を進めている。本稿は、この高速自転車ルートのデザインの詳細を、同ルートに対するデザイン指針、及び実現事例から明らかにすることを目的とする。高速自転車ルートは高速自動車道路に並行して整備されていること、しかし直接、高速自動車道路の沿道に敷設することは避けられていること、あるいは、対面通行の自転車道に加え、フィーツストラートを多用することでルートの連続性を確保していること、などの特徴が明らかになった。一方で、ルートを示す案内標識のデザインについては模索の段階にあり、また沿線自治体や住民が必ずしも敷設に協力的ではない、といった課題も明らかになった。しかし整備前後で自転車交通量は着実に増えており、また利用者は同ルートとしての整備を高く評価していた。