日本では近年、「車道混在」と呼ばれる自転車走行空間が急速に増えているが、整備されても多くの自転車利用者は走行しないことが明らかとなっている。一方オランダでも近年、車と自転車の走行空間を分けない自転車走行空間、フィーツストラートが急速に増えている。自転車が主役で車はゲストと位置付けられており、実際に子供も含めて多くの自転車利用者が走行している。そこで本論文は、文献調査とインタビューにより、2015年以降のフィーツストラートの整備動向と最新の設計指針の内容を明らかにすることを目的とする。フィーツストラートは自転車にやさしい都市を象徴する存在と見なされるようになっていた。さらに既存の自転車道・自転車レーンを廃止してフィーツストラートに転換する例も増えていた。一方で危険性が指摘される事例も見られるようになった。これに対して2019年には、フィーツストラートの安全性確保を目的とする新しい設計指針が公表され、その中では特に車道幅員を交通量に合わせることが求められていた。