「吉野秀雄とはつ子 第十六回―新たなる決意―」
砂丘短歌会
株式会社 第一印刷所
「砂丘」2018・春号(総頁数40)
歌人吉野秀雄は、大正10(1921)年4月より慶應義塾理財科二年に進学した辺りから、積極的な文学活動を開始していたことが、神奈川近代文学館特別資料「吉野文庫」所蔵の当時の日記から判明した。4月から12月の間に、74首の短歌と、石川啄木の散文詩「曠野」「火星の芝居」「白い鳥・血の海」「二人連」「祖父」から影響を受けたと思われる未タイトルの散文詩一篇、そして「試験の前のある氣持」「血まめ」と題した二篇の詩(いずれも未発表)が発見された。