「吉野秀雄とはつ子 第十九回―愛の深まり―」
砂丘短歌会
株式会社 第一印刷所
「砂丘」2019・冬号(総頁数44)
大正10年(1921)11月3日に、高崎市新町で初めて会うことができてから、吉野秀雄とはつ子は、吉野秀雄が大学を卒業するまで、学生結婚ではなく許嫁の関係を続けることを決意するのだが、この関係は現在からは想像もつかない困難さを伴うものであった。封建的な社会にあって周りから常に二人は新奇の目で見られ、時には心ない噂を立てられて、二人ばかりか家族や親戚にまでその被害が及んでいる様子を、神奈川近代文学館収蔵の未公開の書簡を引用しながら説明した。