国語教育の現代文韻文指導のための論考。詩歌というと、とかく自己の内面を包み隠さずさらけ出さなければならないものと思い込んでいる学習者がほとんどだが、詩歌にも虚構の世界を描いた作品があることを理解させることを目的とした。そのために山崎方代の歌を教材化した。山崎方代は、宮柊二や近藤芳美といった戦後を代表する歌人と同世代ながら、彼等とはまったく異質な歌を詠んでいる。山崎方代の四つの歌集『方代』『右左口』『こおろぎ』『迦葉』の中から代表作を紹介し、短歌の虚構性について学習者に自由に議論させ、既成観念から抜け出させるためにはどのように指導したら良いかについて考察した。