平成29・30年改訂学習指導要領では、カリキュラム・マネジメントの重要性が指摘された。そこで、学年の枠を越え教科横断的な学習を充実させるために、国語科としてどのような単元学習と指導法が考えられるかについて、平和教育をテーマとして、新しいカリキュラム構築のあり方について提言した。関係教科としては、国語科、地歴公民科(社会科)、外国語科(英語科)、理科、芸術科の各教科と連携しながら、2年間にわたるカリキュラムを想定している。それを実現するために、国語科の単元学習としては原爆文学を取り上げ、その原爆文学の中から特に再評価すべき教材とその学習方法を提案した。具体的には、林幸子の詩「ヒロシマの空」、栗原貞子の詩「生ましめんかなー原子爆弾秘話ー」、大江健三郎著『ヒロシマノート』所収「屈服しない人々」、永井隆著『この子を残して』、NHK取材班著『アメリカの中の原爆論争ー戦後50年スミソニアン展示-』などである。これらの教材の学習を通して、日本の中の原爆観とアメリカの中の原爆観との違いを考察させて、平和を実現するために越えなければならない壁や獲得すべき普遍的な価値観とは何かについて考えさせることを目的とした。