吉野秀雄が、はつ子に対して結婚の申し込みをした三通目の手紙に対して、心強いばかりのはつ子からの返信が来て、吉野秀雄は浮かれかれ気分で四通目の手紙を書く。ところが、その手紙を書き終わって投函する直前に、彼女から四通目が届くのだが、その内容に吉野秀雄は色を失ってしまう。「いつかあなたが私を捨てるときが来るだらう。」という吉野秀雄の愛を疑うような辛辣な言葉が書かれていたのである。それを読んだ吉野秀雄は、すぐに、大正9年12月24日に書いた書簡の中で、はつ子に対して反論をする。はつ子からすれば、富岡尋常小学校を卒業してから以降は、吉野秀雄と直接会って話したことはなく、手紙の中では確かに、吉野秀雄の自分に対する好意を感じることはできたのだが、結婚の申し込みという人生の重大事の前に、親にも相談できず、急に不安になったのではないか。しかし、吉野秀雄から届けられた当然の反論を読んで、さすがに申し訳なく思ったようで、はつ子からもすぐに吉野秀雄に対して、お詫びと改めて結婚の申し出を受ける旨の手紙が届くのであった。