PP. 23-41. 20 世紀初頭から第二次大戦までイタリアの絵葉書はメディア的責務を負っていた。とくに大詩人ダンテとダヌンツィオについては彼らの存在そのものが、愛国心を鼓舞する宣伝装置として絵葉書に利用され、種類も多いうえデザイン性も高く、政治的に利用された過激なものもあった。第一次大戦期は、オーストリアの国境付近の山岳地帯や「未回収の」土地の風景を写した絵葉書に、カルドゥッチらの愛国詩を添えたシリーズも登場した。ファシズム期は、美しいイタリアの風景写真絵葉書に、有名無名の詩人たちの詩の引用を添えたものが流行、あえて場所を特定しない「アノニマスな」風景にすることによってロマンチックな詩情を演出させる場合もあれば、詩人ゆかりの「特定の」地を売りにするものもあり、後者は観光絵葉書としても機能した。