PP. 63-99. スイス国外で、スイス・アルプスの山間の村を本格的に再現する「スイス村」が誕生したのは19世紀に欧米各国で行われた万国博覧会からであった。伝統的な民家や山小屋(シャレー)風の建物によって、スイスらしさを演出したものであるが、日本ではTVアニメ「ハイジ」の放映後からバブル期に至る1970-90年代を中心に、テーマパークやまちづくり、レジャー・保養施設などで、スイス風の建物を集めた「スイス村」が興隆した。バブル崩壊によって計画倒れで実現しなかったもの、実現し今なおその姿を留めているもの、北海道から九州まで、日本各地に派生した「スイス村」が誕生する歴史的経緯と現状を追ってゆき、当時の日本人のスイスへの憧れを具現化したかのような国内のスイス村の数々が、バブル期に流行った外国のテーマパーク開業ラッシュと相まって、ハイジの人気とともにどうように展開・変化していったかを展望する。