1960~70(昭和30~50)年代は、新築ホテルの開業ラッシュが起こり、日本各地で数々のホテルが誕生したが、その屋号の命名には、ある種の傾向があった。ホテルの所在地の地名に「観光」「国際」「温泉」「グランド」「ニュー」「ロイヤル」「ビュー」等といった特定の単語を組み合わせてつくることが多く、その幾つかはヨーロッパのホテルの命名法を踏襲している。しかし、ヨーロッパでそのような屋号が多く派生した時期と、日本での流行期には一世紀近くのタイムラグがあるため、日欧で命名法が似たホテルでも、それらが開業する土地の傾向、建築技術・デザインの傾向は全く異なっている。本稿(パート3)では、ホテルから良い「眺望」が見えることを示唆する「ビュー」という語が含まれる屋号について論じてゆく。さらに、ホテル立地の自然環境が反映される屋号のうち、湖畔・川沿いの良い眺めが望めるであろう「レークサイドホテル」「レークホテル」「リバーサイド」という屋号も本稿で取り上げる。