『台湾鉄道旅行案内』と植民地台湾の「旅行空間」
商経論叢
九州産業大学商学会
48巻第1号
日本統治期の台湾を対象にした『台湾鉄道旅行案内』をはじめとした「鉄道旅行案内書」の内容分析を通じて、当時の観光の実態について、社会史・文化史的な接近を試みた。内容分析によって、戦前の台湾において旅行目的地が1910年代以降集積され、旅行空間が拡張していったことが明らかになった。旅行空間が拡張する原因としては交通条件の整備があった。また「台湾鉄道旅行案内」は日本の文化的ヘゲモニーを観光・旅行の領域で表象した出版物であった。