日本統治期の台湾における旅行と観光のオーラルヒストリー(1)
商経論叢
九州産業大学商学会
第50巻第2号
日本統治下の台湾で旅行を経験した「本島人」を対象にしたインタビューをもとに、「本島人」の観光・旅行行動とその背景にある学歴や家庭状況などの関係、植民地的状況を描出した。農村社会において一般の「本島人」は経済的理由と余暇時間を旅行に当てるという習慣が普及していないために、旅行や観光の機会は極めて限定されていた。多くの本島人にとって修学旅行が数少ない旅行の機会であり、学歴の高さ、家庭の経済状況などがその後の旅行機会を決定した。