「民家体験泊事業」について、長崎県松浦市と沖縄県伊江村の事例を通じて考察した。マスツーリズム型の観光事業が大きな転換期を迎えるなかで、体験学習型観光である「民家体験泊事業」は観光地(着地)主導型の新たな取り組みであり、開発を伴わず、生業や生活文化などの地域資源を最大限に利用する点に特徴があった。また事業規模や経済効果の拡大を志向しない点から、「持続可能な観光」の一形態である。一方で、潜在的には「民家体験泊事業」を実施できる地域は全国に多く存在し、松浦と伊江島の場合、平和学習と結びつけることで修学旅行を誘致できる利点があった。