蘭嶼ヤミ族と観光
立教大学観光学部紀要
第1号
台湾・蘭嶼には先住民族ヤミ族が居住していたが、日本統治を経て中華民国に蘭嶼が接収されると、ヤミ族は中華民国の国民に編入された。1960年代までは国防上の理由から渡航が制限されていたが、1971年に観光が開放され、ヤミ族の生活文化は漢人観光客を誘致することになった。一方ヤミ族は台湾の経済成長に伴い台湾本島で出稼ぎを経験するが、中華民国と蘭嶼の間の政治的な力学関係を認識し、漢人観光客の差別的な行為を契機として、観光と観光客に対して否定的な意識を形成することになった。