日本植民地期における北投温泉の形成
立教大学観光学部紀要
第2号
pp.26-35 台湾・北投温泉を事例として日本植民地下において生成された観光文化について、温泉遊興文化とくに性風俗の要素と、台湾統治政策との関連について考察した。北投温泉の開発は当初、民間植民者と日本陸軍が中心で、総督府は非公式に係わるのみであったが、1910年頃から施設整備、鉄道の整備など公式的に北投温泉に係わるようになった。温泉遊興文化と総督府との関係は性風俗を中心に考えると明確になる。北投温泉における性風俗の要素は、総督府が導入した公娼制度の上に存在していた。