台湾八景と植民地台湾の観光
立教大学観光学部紀要
第5号
植民地台湾で台湾日日新報社が1927年に主催した「台湾八景」は、それまでの伝統的な八景とは異なり、大衆にマスメディアを通じて訴えた人気投票であった。「台湾八景」は先行する「日本新八景」に触発された企画であったが、その目的は八景選定による台湾宣伝と内地からの観光客の誘致にあった。観光客誘致には必ずしも成功したとはいえなかったが、新聞の影響力によって絶大な投票行動を台湾人大衆層に広げた企画であり、その後の観光と観光地の展開に大きく影響した。