本論では19世紀後半、アメリカ父権的社会に異議を唱え、建国の理念であった自由・平等、そして民主主義の実現を求めたエリザベス・ケイディ・スタントン(Elizabeth Cady Stanton:女性参政権運動指導者)、ハリエット・タブマン(Harriet Tubman:社会活動家)、ベセニア・オーウェンズ=アディア(Bethenia Angelina Owens-Adair:医師)という3人の同時代の女性を取り上げ、階級・人種を超えて私的領域から公的領域へと活動を広げた女性の戦いをそれぞれの著作や伝記から明らかにしている。