本論はアメリカのアフリカ系アメリカ人の女性彫刻家メタ・ワリック・フラーの初期作品における社会プロテストを取り上げている。フラーの3つの作品、すなわちEmancipation(1913)、In Memory of Mary Turner (1920)、Ethiopia Awakening (1921)には当時のアメリカ人種差別に対する抗議メッセージが提示されている。フラーのアーカイヴ文書からmそれぞれの作品に込められたオルタナティヴな自由・解放の歴史ナラティヴを読み取り、トランスアトランティックな3大陸の歴史の中で再配置している。