本稿は、19-20世紀転換期に活躍したアメリカのフェミニスト作家シャーロット・パーキンズ・ギルマンの著書『女性と経済』における女性の経済的従属にみる「社会的利益(人類)と自己利益の間の絶え間ない闘争」と、これらの利益を調和させるためのギルマンの改革的アイデアに焦点を当てる。論文では、ギルマンの当時の主要な理論を利用しようとする意図を検証し、次に「性・経済関係」の問題に対する彼女の解決策、特に食料の供給や育児・教育といった、伝統的に女性に属していた家事労働の社会化に関する彼女の改革的アイデアに主眼を置いて評価した。さらに、ギルマンの著作が同時代の女性たちや現代の読者に与えるフェミニズム的な影響について考察した。