本稿はシャーロット・パーキンス・ギルマンが自身の雑誌『ザ・フォアランナー』に連載したユートピア小説『ハーランド』(1915年)を分析対象とする。この小説は、単為生殖による母系社会を基盤とする女性ユートピア社会を描き出し、キリスト教的な家父長制を風刺的に再構築したナラティブである。本論では、ギルマンによるユダヤキリスト教的創造神話の再構築やその構造を支える宗教的要素と科学的要素の相互作用に焦点を当てる。具体的には、神と救世主に関する聖書のモチーフのギルマンによる受容、創世記ナラティヴ再解釈の試み、そしてハーランドという女性ユートピアの宗教的教義を通じて培われたジェンダー思想について考察する。さらに本稿では、約1世紀前のアメリカのフェミニストユートピアニズムの現代的意味についても探求する。