パリアたちのパラダイス:トニ・モリスンが描く黒人女性とアメリカの歴史
国学院大学
『紀要』
42
アフリカ系アメリカ人(黒人)として初めてノーベル文学賞を獲得した作家トニ・モリスン(Toni Morrison)が描く黒人女性のヒロインは共同体の中で「パリア」(Pariah:異端者)として疎まれながらも、共同体の人々を団結させる契機となる負の価値観を背負う重要な存在として描かれている。黒人共同体におけるこのパリア像をふまえ、奴隷制時代および20世紀後半にかけてのアメリカ史を人種的パリアとしてのアフリカ系アメリカ人の視点から読み直している。