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19世紀後半、奴隷制廃止・女性参政権獲得運動に関わったアフリカ系アメリカ人(黒人)の伝道師ソジャナー・トルース(Sojourner Truth)の名が歴史に刻まれた背景には、彼女がもつ仲介者としての資質がある。福音伝道師となったトルースは逗留者(sojourner)として全米を巡って各地に滞在し、人々に神の真理(truth)を伝道した。記録に残るトルースの言動から、彼女の3つの資質(雄弁さ、ウィット、敬虔さ)に注目して彼女の生涯を概観し、人種・性別・階級で分断された人々の仲介者としての役割を分析している。