本研究では,アバター通信を用いたオンライン心理支援における,非言語コミュニケーションの豊富さと対面性の低さの役割を検討するために,比較実験を行った。実験参加者は,ほぼ全員が学生であった。実験1においては,22名のクライエント役が動くアバターと動かないアバターの2つの形式のアバター通信による心理面接を体験し,各面接を評価した。各面接の評価点の差をt検定で分析した結果,アバター通信を用いた心理支援における心理士の非言語コミュニケーションの豊富さの有効性が示唆された。実験2においては,24名のクライエント役がアバター通信とビデオ通話の2つの通信形式による心理面接を体験し,各面接を評価した。各面接の評価点の差をt検定で分析した結果,アバター通信を用いた心理支援における心理士の対面性の低さの有効性が示唆された。以上の実験結果から,オンライン心理支援におけるアバター通信の活用可能性が示唆された。