河合栄治郎の学生時代-一理想主義者の形成
史観
河合の思想形成期にあたる旧制高等学校および帝国大学時代の思想と行動を未公開の史料等を用いて実証的に分析した。新渡戸稲造や内村鑑三らの影響下で培った河合の理想主義が内面的自我の実現に努めると同時に、積極的に社会発展に貢献しようとする性格を有するものであり、自己の内面に閉じこもるあまり現実の社会から目をそらしがちになる阿部次郎らの「大正教養派」の理想主義とは一線を画することを論証した。