宗教的ファナティズムの非インド的想定――ヘーゲル『法の哲学』第五節とミュンスター再洗礼派王国――

『跡見学園女子大学人文学フォーラム』

跡見学園女子大学

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ヘーゲルは、『法の哲学』第5節において、「宗教的なもの」と「政治的なもの」のファナティズムを指摘し、前者の理論的なものとしてインドを示唆している。このテキストのもつ意味を考えるとき、ガンス編集の補遺を参考にする必要があるが、それは、グリースハイムノートと決定的な違いがある。ガンスの補遺では、グリースハイムが記録するミュンスター再洗礼派王国への言及が落ちているのである。宗教的なものにおける実践的なファナティズムとしては、ミュンスター再洗礼派王国が念頭に置かれており、このことが、ガンスのテキスト編集で隠蔽されているとともに、本邦における講義録紹介でも一貫して誤訳されることによって無理解にとどまっていることを指摘し、ヘーゲルの真意を正確に読み取ることに寄与した。