ヘーゲル『法の哲学』における「国家の論理」――国家を動かす〈自由な意志〉の〈論理〉と〈恣意〉の〈教養形成〉的役割――
加藤尚武・滝口清栄編『ヘーゲルの国家論』(理想社)
61-92頁 ヘーゲルの〈国家〉論を〈論理〉的に読みきろうとすると、その出発点となる〈自由な意志〉の〈論理〉としてそれを考え抜くことが求められる。〈自由な意志〉は、つねに特殊な内容にかかわって〈恣意〉に陥らざるをえない。したがって、〈自由な意志〉の〈論理〉は、普遍態を重んじていこうとするなら、当然ながら特殊に傾く〈恣意〉を除去せざるをえない。ヘーゲルの〈国家〉において、君主から統治権、さらには立法権へと概念展開する論理、さらには〈世界史〉へと解放される論理は、このことに規定されている。