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ヘーゲルは、事実の世界を哲学の俎上に載せようとするとき、経験的な事実に関する〈情報知〉を最大限的確に収集しようと努めている。このことは、「世界史の哲学」においても、同様である。また、情報収集をするさい、時間(時代)の点で厳密に評価しようとした。ヘーゲルは、ベントリによる〈インドの天文学〉に関する議論に依拠し、これを相当程度に精確なものだと評価し、理解するかぎりのことを学生に伝え、〈インドの天文学〉を見下すことがなかった。これは、ホトー・ノートの延長線上での理解の逆になる。これらのことを、グリースハイム・ノートとの対比も試みつつ、矢野道雄の議論に依拠しながら論じた。