トロロープの短編に見る「オリエント」-異国におけるイギリスの女性を中心にー
『跡見学園女子大学人文学フォーラム』 第9号
10頁(pp. 108-117) アンソニー・トロロープの短編の多くは外国を舞台にしている。本稿では特に1860-61年に発表された「オリエント」を舞台にした5つの短編を取り上げ、その中に描かれるイギリスの女性キャラクターに注目した。異国における彼女たちの不安定な境遇を描くことによって、トロロープは当時のイギリス社会で掲げられていたジェンダーをめぐる規範の矛盾や問題を鋭く追及した。