「キャサリン・カーマイケル」に見る未来のニュージーランダー
『津田塾大学言語文化研究所報』 第26号
7頁(pp.6-12) この短編にはトロロープがオーストラリアやニュージーランドの労働者の活力に感銘を受けた経験が反映されている。これはヒロインの再婚相手、「男らしい」ジョンの描写に顕著である。1867年の選挙法改正では真面目で向上心のある労働者という概念が生まれたが、トロロープはジョンに象徴されるこのような「リスぺクタブル」な労働者が移民として成功し、本国の文化が新しい形で継承されていくことを願い、その期待をこの作品に込めたのである。