書芸術は、東アジアにおける漢字文化とともに発展してきた。古代中国における漢字字体の変遷をひもとくことは、書芸術の発展を研究することに他ならない。商(殷)代ではごく限られた範囲で漢字が使用されてきたが、春秋戦国時代以降、漢字の使用は文書行政とともに天下に広まり、その字体も急速に変化した。近年、中国各地からさまざまな古代の文物が出土している。字体の変遷を考える上で、またとない史料が出そろいつつある。研究テーマは「字体の変遷(戦国・秦漢を中心として)」「古代簡牘」「古代の筆記具」などを中心に据えている。