河北省平山県で発見された戦国時代の中山国遺址で出土した青銅器や刻石、あるいは玉器などに記された文字には、大きく分けて①メモリアルな要素がきわめて強い装飾性に富んだ字体②殷周からの文字体系をそのまま受け継ぐ標準体③実用通行筆写体(a金石などに刻された通行体、b肉筆による筆写体)の3種がある。秦の始皇帝が文字統一を実行するより90~100年ほど遡る時期の北方で用いられていた貴重な文字資料であることを指摘した。2014年6月にオープンした河北博物院には中山国遺址出土の文物が展示されているため、現地を訪れて博物院を参観し、あわせて報告したもの。