公立文化施設が「公共劇場」となるための条件に関する試論

跡見学園女子大学マネジメント学部紀要

第３９号

1990 年代以降、水戸芸術館を嚆矢として、公立の専用劇場・ホールが新たに整備され、「創造する劇場」を目指すところが現れた。そうした「公共劇場」では、芸術監督や専属の劇団等を置くなどの先駆的な試みが始まり、財団法人地域創造の設立（1994 年）により、文化芸術による地域コミュニティの活性化が目指された。2003 年以降の指定管理者制度の導入は、公立文化施設がミッションの明確化を目指す機会となった。その後も「劇場法（通称）」の制定（2012）や文化芸術基本法の成立（2017）によって、文化政策のパラダイムシフトは進みつつあるが、現場における人材や予算不足等の課題が多く、改革にはなお長い時間がかかることが予想される。