2017年から2018年にかけて文化政策領域においては、計画化を志向する政策変更が行われた(2017年6月文化芸術基本法及び2018年に予定される文化財保護法改正)。計画の策定は、それまでの基本方針と異なり、目標管理と、進捗状況の確認、成果を評価するプロセスが組み込まれることになり、これまでの文化政策の実務のあり方を大きく変更する内容となっている。これまでも事業成果の定量評価が一般の行政領域に適用されてきているが、とりわけ文化政策領域においては、既存の定量評価では不十分と考えられ、独自の政策評価の必要性が語られてきた。本研究では、事業評価より上位の政策評価のための制度、概念、方法、基準、指標を、先行国および国内の事例を批判的・参照的に検証し、文化芸術の内容面に重要な学術的な成果(芸術論・批評・評論)をもたらしてきた人文知を活かして、今後の政策評価の方法と制度を考察する。