本稿は日本語を母語とする英語学習者を対象に、カタカナ英語の知識と原音の音韻認識の関係を明らかにすることを目的とした。「日本人英語学習者は、カタカナ英語の発音とその原音との差が小さければ、その原音を正しく認識する程度が大きく、カタカナ英語の発音と原音との差が大きければ、その原音を正しく認識する程度が小さい」との仮説を立て、その検証のために、日本人大学生50名を対象に、カタカナ英語と原音との音韻的差の大小に基づき選んだ、ア行で始まるカタカナ英語50語の原音認識度を調べた。その結果、この仮説は支持されず、カタカナ英語と原音との音韻的差と日本人英語学習者の原音認識度は明白な相関関係にはないことが明らかとなった。